登山やハイキングにスカート・・・というのが流行っているらしい。
登山の服装といえば、無骨な作業ズボンのようなチノパンに、チェックの長袖のシャツ、というのが定番だ。
昔はニッカボッカが主流だった。ニッカボッカと言っても鳶の方が穿いているようなブワッと膨らんだものではなくて、膝下丈の緩めのズボンで、ハイソックスで露出するところがないようにしているものだ。
ちなみに、鳶のニッカにも意味はあるらしい。あれは昆虫の触覚、猫のひげのようなもので、言わば、ズボン自体が障害物に対するセンサーの役割をしているそうだ。狭くて高いところで仕事をする鳶の方ならではの服装なわけだ。どんな服にも何らかの意味がある、ということかもしれない。
で、山スカに話を戻すんだけれど、最近は登山も様変わりして、男性でもタイツが台頭しつつある。年配の方はチノパンが多いが(ハイキングだと、ジーパン、ってのも多い、動きにくいのにな)、若い人、山を走る人、機能性を求める人にはタイツが多くなっている。
ワコールのCW-Xなど高機能のタイツがたくさん出ているらしい。立体裁断によって足の筋肉の動き、関節の動きをサポートするものだそうだ。
男性も中年になるとどうしてもお腹が出っ張ってくるわけで、タイツを穿くのはカッコ悪い、ステテコみたいで、下着みたいなものをアウターとして着るのはどうか? と考える人が多い中、足が長くて、スタイルのいい、いわゆる「シュッとしてる」若者はタイツに走るのである。
カッコはま~~この際いいとして、機能がいいんだから、これを使おうや、って合理的に考えるのは、まさに男性らしいところである。だから、体型にこだわらずタイツを選ぶ人の性格が見ているとわかるような気がする。
まあ、男性の話はこれくらいにして・・・
女性の方はホントにタイツが主流である。
だって、昔から穿いてるんだもの、別に抵抗はない。
中年になって少々体型は崩れているものの、タイツを穿かない手はない、体型云々より、冷え性のワタシにはタイツは欠かせないのだ、というような感じである。
でも、やはり女性、見た目にこだわりたい。登山をするような人は基本的にナルちゃんであるから、見た目がやっぱり大事なのだ。
登山する人がどうしてナルちゃんかと言うと・・・
ワタシはこんなに頑張って山登りしたのだから、周りの人からよーく頑張る人だなと思われて、ある意味カッコいいのだとか・・・来た道を振り返って、こんなすごいことが出来る、ワタシはやっぱりすごいのだ・・・とか、考えてるに違いない、だって、ワタシがそうなんだもの(^。^;)
だから、よっぽどタイツが似合う、下半身タイツ一丁でも平気の平左、というような素晴らしいプロポーションの持ち主でない限り、タイツオンリーという事態は避けたいわけで、それじゃ、短パンとタイツを組み合わせるということになったのだ。
でも、これ、結構体型に響くファッションなのだな。
加えて、最近腰まわりを隠す、チュニックがファッションでも台頭してきた。応用として、短めワンピース、長めカーディガン、パーカ、それに長め上衣にミニスカというファッションも多くなってきた。
腰まわり、ウエスト周りが隠れるので、これ、見た目の体型補正にも効くファッションである。
ただ、ミニスカに生足では、みんないろんな意味で抵抗がある。足が綺麗ならば問題ないが、マダラがある、アザがある、膝の形が悪い、太ももが太すぎ、ふくら脛が太すぎ、全体的になんか貧相、ムダ毛が多い、メリハリが無い、全体のバランスが悪い、などみんないろいろな悩みがある。
だから、タイツでも・・・という流れなのだが、基本的にタイツはパンストと同じで、靴下の一種である。だから、足はすっぽり覆われてしまう。これでは、ミュール・サンダルの類は履きづらいし、爪のおしゃれも見せることが出来ない。そこで、出てきたのが、脚でない足の部分だけを出すようにした、レギンスやトレンカなどである。
登山用のタイツは、タイツと言っても、形状的にはレギンスである。足は出ている。登山では足の保護のため登山靴は厚手の靴下を履いて履くから、肌の露出はないが、ファッションとしては、ショートパンツより、スカート向きなのである。
というわけで、山スカートって生まれてきたのだろうと思う。
当然、トップスの方も従来のチェックの長袖のシャツではなくて、街着に近いものに変化してきた。繊維の方に機能性を持たせて、紫外線を反射したり、水分を吸収して発熱あるいは放熱するような素材を使うようになった。
最近の街着の機能化は、登山やスポーツ界からのフィードバックなのである。
まあ、海外のアウトドアファッションのモノマネ・・・ってところもたしかにあるのだが。
はぁ・・・長くなってしまった。
ワタシは山口の東鳳翩山に登ってきたわけだけれど、ご多分にもれず、山スカであった。
と言っても、登山用品店で買う山向きのスカートではなくて、普通のデニムのミニスカート。
山向きのスカートには保温性などの機能を持たせてあるが、この時期、そんなものは必要ない、加えて、雨のふる様子もない、機能的なことを考えたかといえば、ポケットの多いスカートだったというくらい。
この状態なら、ポケットに万歩計(携帯電話だけど)とアメ(ミンティアだけど)くらい入れば十分。加えて、タオルハンカチくらい入ってれば、完璧
全身を描写するなら、髪は年甲斐もなくツインテールで、その上からバンダナを巻き、長袖のカットソーにミニスカ、それにレギンス、足元は長めのソックスに、ローカットのトレッキングシューズという出で立ち。
高機能なものは何もなく、山らしいといえばトレッキングシューズのみ、という結構アンバランスな格好だけれど、これで十分、行って帰ってこれた。
もっと厳しい山行なら、こんなのは問題なんだけれど、高々3時間弱の山歩き・ハイキングである、うん、これでいいのダ。
新緑の山道
山頂から見た山口市内
山頂付近のヤマナシの花
(追記)
ということなんだけど、本当に厳しい山行でスカートはやめた方がいいとは思う。場合によっては命捨てるみたいなもんだし、邪魔くさい。ただ、スカートは着脱が簡単なわけで、不要なら脱げばいい。だから、スカートが云々というより、スカートの下に穿いているものの方が問題。
普通のタイツはもちろんダメだ、スカートなしで穿ける代物ではない。スポーツ用のタイツはそれオンリーで本来穿くものであるから、問題はないが、足の保護という観点から見ると、岩角でこすったり、つまづいたりしたときには簡単にケガをしてしまう、そういう場面で使うなら、危ないと言える。
だから、いわゆる泊を伴うような登山で、登攀的要素が強いものなら、タイツはちょっと考えものである。接触による危険が増すからだ。ただし、逆に登攀オンリーならば、タイツで登ることが危険であるばかりとは言えない、体の動きをスポイルしないことによって危険を回避することも可能であるからだ。事実、クライマーはタイツで登る、昨今登山ズボンを穿いて登る人は少ない、まあ、悪天候の時はその限りではないし、冬山だとさらに問題外、極地での登山なら無理があるし・・・でも、結局はTPOだと思うのだ。
時と場所と目的と、それに応じて、ファッションを使い分けるならば、スカートを穿こうが、何を穿こうが構わない。ファッション先行が問題なのだと思う。
スカートはチャライ、不謹慎だ、という意見も多い。目のやり場に困る、という男性も多いらしい。
でもね、スカートの下はショーツではない。まあ、中が見えてしまったとしても、パンチラではないのである。ましてやスポーツ用のタイツならば、もともとはそれだけで穿くものである。それだけではファッション的に問題があると感じてスカートを穿くのである、それが不謹慎と言われても、言われた方はピンと来ないだろう。
たぶん、スカート賛成派と反対派は絶対に相容れないと思うのだ。
なぜなら、判断基準、視点が全く違っているからだ。
きっと、どちらの立場も分かる人は窮屈な思いをしていると思う。こっちの意見もわかるけれど、あっちの意見もわかる、立場の違いを橋渡ししてくれ、と言われたら、ワタシなら遠慮する、そんなめんどくさいもの、御免被りたい。
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